Ameland 渡り鳥と光害3 (from updateNL)

shapeimage_1

スヒールモニクオーホ島の隣には、アーメランド島という一回り大きな島がある。
人口は約3500人。島のあちこちに広大な砂浜が広がる、美しい島だ。
そして隣島と同様この島もまた、多くの渡り鳥の通過経路上にある。

5.5-6-k

実は、昨年の冬に放映された「Labyrint」(=英語のLabirinth)という科学番組の中で、
アーメランドでは「クリアスカイライト」と呼ばれるランプを一部街灯に使っていることを知り休暇を兼ねて見に行ってきた。
このランプは青緑色の落ち着いた色合いで、渡り鳥に優しい照明としてフィリップス社が生物学者や各機関とともに開発したものだ。

オランダは人口密度が高い。国中にまんべんなく人が住んでいて、夜になると国土全体が過剰にライトアップされる。
「真っ暗闇」はほぼ絶滅寸前だ。

「Labyrint」によると、夜の過剰な照明による「光害」がエコシステムに与える影響についてはまだあまり解明されておらず、
本格的な研究が始まったばかりとのこと。
これから何年かかけて、オランダ国内の40カ所で様々な動植物と光害の影響が調査されるらしい。

ところで、北海は石油と天然ガスの宝庫でもある。その採取のために、北海には約700の海上ステーションが建っている。

_DSC8567-p-k

渡り鳥の中には夜に渡りをするものもいるらしい。
そして毎年多くの鳥が、夜の海上ステーションに突っ込んで死んでいるという。
なぜ鳥たちは、ステーションに突っ込むのか?
北海にいくつもの海上ステーションを持つ「オランダ油田会社(NAM)」の依頼を受けて、
生物学者ヨープ・マルケーニはこの鳥の奇行の原因を究明すべく調査を行った。

マルケーニらの調査によると、渡り鳥には絶対的な方向感覚があるが、
それが赤い光によって破壊されてしまうことがわかった。
夜渡る鳥たちは海上ステーションの光に集まり、そこで赤い色を含む照明をあびて方向感覚を失い、
その結果ステーションに突っ込んでしまうというのだ。

一方、赤のスペクトラムを含まない青い光は遠近感を認知できないため、人間のための照明として不適切。

そこで青緑色の「クリアスカイライト」が、渡り鳥にも優しく、街灯などの照明としても適切なものとして開発されたのである。
NAMの海上ステーションでも試験的にクリアスカイライトを使用したが、作業員の一部から不評で現在は使われていない。

そのかわりに、海に突き出した港周辺でこの照明が使われている。
まるで満月の夜のようにおちついた美しい光。
通常の街灯よりもやや暗い気もしたが、その灯りで読書をするわけではないので十分。

生物学者たちは、「オランダは明るすぎる」と感じている。
光害がエコシステムに与える影響は、まだ解明されてはいないながらも甚大であることは明かだ。
かつてはオランダに21種類いたコウモリは、現在15種類に減っている。
その大きな原因のひとつが光害だ。

2.1-2-k

地道な調査でオランダの生物多様性を守ろうとする生物学者たちの活動や、
試験的ながらも渡り鳥保護の照明を実用に持ち込んだ地方自治体の取り組み。
そして、国内40カ所で継続的に行われている研究。それらの動向も折に触れてフォローしていきたいと思う。