アムステルダムのコーヒーショップ政策 

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ソフトドラッグの個人使用を黙認する政策をとるオランダでは、「コーヒーショップ」でマリファナやハシシを購入することができる。

この春、オランダ南部の3つの州で「大麻パス」制度が導入されて波紋を呼んでいた。この制度は、ソフトドラッグを購入できる資格を18才以上のオランダ居住者に限り、ドラッグツーリストを一掃して関連の犯罪を撲滅しようというものだ。来年からは全国的に導入されることになっているのだが、コーヒーショップから閉め出されたツーリストたちのために闇市場が形成されることは必至と見られるため、反対の声は大きい。

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11月1日の大手新聞に掲載されたインタビュー記事の中で、アムステルダムのファン・デル・ラーン市長(写真)は、市内にある220軒のコーヒーショップではツーリストを閉め出さないという意向を明らかにした。アムステルダム市の広報も、この内容を正式にリリースしている。
アムステルダムを訪れる観光客は年間約600〜700万人。そのうち約150万人がコーヒーショップを訪れている。
市長は、これらのツーリストをコーヒーショップから閉め出すということは、現在は管理可能な売買の場を目の届かない路上や闇へと追いやるだけとその悪影響を訴え、大麻パス導入に反対してきた。

この政策は、4月に退陣した前政権が打ち出したもので、先日発足した新政権が引き継ぐ形になった。新政権が発表した政策内容には、”自治体の判断を考慮して適切な処置をとる”という意味合いの内容が記されていることから、ファン・デル・ラーン市長は今回の決断にいたった。
「かつてドラッグの路上売買の中心になっていたエリアを、市当局や警察、住民達は、20年もの年月をかけて一掃し安全な一角へと建て直してきた」と市長。「コーヒーショップ制度は、最低年齢制限の厳守、ソフトドラッグの質の管理、路上での違法販売の防止に大きく貢献している。この制度からツーリストを閉め出すのは、せっかくの制度の恩恵を捨てるようなもの」という。

これを受けて、法務省が「ファン・デル・ラーン市長の決断は性急すぎる。まだ、担当省である法務省の許可を受けていない」と、イエローカードをちらつかせるようなコメントを他紙で発表した。とは言うものの、コーヒーショップは自治体の管理下にあるため、店を閉めるなどの裁量権を持つのは市長だ。コーヒーショップやソフトドラッグを身近な存在として生活している市民には、大麻パス制度という国による机上の計画が治安の改善に結びつくとは想像しにくい。だからこそ、今回の市長の声明はより説得力のある方針として、多くの市民から賞賛を受けた。

個人の使用は黙認するけれど、供給源となる大量栽培や仕入れは違法だという大きな矛盾の上に成り立つソフトドラッグの容認政策。オランダらしい究極の実利主義が生み出した、不思議な制度である。

(スライドショーの写真は、アムステルダム旧市街にあるコーヒーショップ、店頭の18才未満立ち入り禁止のサイン、マリファナ5gとジョイント。一人が一度に購入できるソフトドラッグは5gまで)

Portrait of Eberhard van der Laan: © City of Amsterdam 
photos of coffeeshops, marjuana: © studio frog