エシカルな木製自転車 Bough Bikes

_DSC3697k
ひとつお知らせです。
Think the Earthというすてきなサイトで、レポートを書かせて頂くことになりました。その第一弾として紹介させていただいたBough Bikesを、こちらでも紹介します。

Bough Bikes

ヤン・フネウェグは、伝統的な木の船をつくる専門的な教育を受けた31歳のデザイナー。彼は、世界で初めて、量産可能な木製自転車をデザインした。昨年、仲間ふたりと共に、Bough Bikesというブランドを設立。この自転車の弾力性のあるソフトな乗り心地と美しいデザインに、今注目が集まっている。

このブランドの生産可能台数は、年間約4000台。
バランスのとれた林業が営まれているフランス側のジュラ山脈で育ったオークを素材にしている。木製のパーツは、オランダのフリースランド州にある家具製造工房で製造。組み立ては、障害を持つ人々が大勢働く福祉施設に発注している。
「木は、種を植えれば、日光、二酸化炭素、雨という自然の力が育ててくれる。そんな自然に感謝しながら、木こりたちは木を伐採している。だからこそ、人は木のプロダクトに親近感を抱き、自然とのつながりを取り戻すような気持ちになれる」とヤン。歩き始めた頃から、すでに木工に凝っていたという彼は、造船を学んでいた時に木製自転車のアイディアを得たと言う。

いくつかのプロトタイプをつくったあと、彼は、量産のための製造工程も含む全てを自分でデザインした。構造や技術面に洞察力が深い彼は、多くのプロダクトデザイナーたちがつまずく「製造工程のデザイン」という難題をクリア。デザインだけして、行程プランニングはメーカーに任せるというスタンスのデザイナーが多い中、「そうすると、ディテールからデザインが崩れていく」という彼は貴重な存在だ。彼の話は、部品に至るまでの全ての生産プロセスを独自に開発して、適度な量産ができる生産ラインを自分で運営するデザイナー、ピート・ヘイン・エークを彷彿とさせた。
一方、「僕の目的は、社会に貢献すること」と、福祉施設に組み立てを依頼することも、当初から予定していたことだと言う。

エシカル・デザイン

徹底してエシカルに生きようとするヤンは、会社運営に対しても一環したビジョンを持つ。「今5歳と3歳の子供がいる。一気に”売れて”しまったら、多忙になりすぎて家族を犠牲にもしかねない。家族と仕事の調和がとれた生活を守るためにも、ゆっくりと成長する道を歩みたい」とまっすぐな眼差しで語った。
彼は、Bough Bikesのほかに、JAN GUNNEWEGという自分のブランドも運営している。こちらではオーダーメードの家具や店内インテリアなども手がけている。サイトでは、Bough Bikes以前にデザインされた木製の自転車も見られるので、興味がある方は是非。JAN GUNNEWEGブランドの自転車は、量産できないために数台しか作っていないというが、まさに走る芸術品という感じだ。

人と自然の調和

ヤンがデザインを通して目指しているのは、人間と自然の調和を生み出すことだ。「風を切って外気を深く吸い、空や木や、山や海を眺めていると、人は”気持ちいい”と思う。それが、人間の根源的なアクティビティである証拠だ。リラックス、冒険、そして自由。この3つの感覚は、今でも人の血管を脈々と流れる、人間と自然の調和の根源だ。Bough Bikesではそれを呼び起こすようなデザインを目指した」と説明する。

人間が生きているだけで環境にインパクトを与える以上、真に「自然に優しいプロダクト」はあり得ない。だがヤンは、最善を尽くして環境に配慮している。
例えばBough Bikesでは、木だけではなく全てのパーツを、素材を混合させないことでリサイクル可能にした。木製品の特徴とも言える、使い込むほどに深まる味わいは、長く愛用したいというサステイナブルな気持ちを呼び起こす。その上、「デザインの力」で、ここまでパワフルにエシカルな信念を表現し、使う人の気持ちを「自然」へと向けてくれるならば、この自転車を「環境に対して優しい気持ちになれる、グリーンな自転車」と呼んでも決して間違いではないだろう。

bike1

photo (c)studio frog