VIC’sの日

6月7日。
夕方、そろそろ家に帰ろうと仕事場を出る頃、けたたましいサイレンの音が街中に鳴り響いた。
救急車?パトカー?消防車?全部?どの車も、街の東に向かっている様子。
これはきっと一大事に違いないと、急いで家にもどりテレビをつけてみたけれど、特報もなければ、ニュースもいたって普通・・・。サイレンの音は小一時間途切れることなく鳴り続けた。

そして夜10時前。
ぐずぐず言う息子をベッドに入れて寝かせようとしていると、またしてもひっきりなしにサイレンの音。
今度は、サイレンが「ハーレルヤ」とメロディまで奏でている。
なにごとかしら、とググってみると・・・
これでした!
「子供動物パーティー」という毎年恒例のイベントで、長期間病気の子供たち、障害のある子供達とその家族だけに夕方王立アルティス動物園を開放する「VIC’sの日」だった。
VICとは、Very important childrenのこと。
VICたちは、病院や施設から、救急車や消防車、警察のパトカーなど、サイレンつきの車でピックアップされ、アルティスへ向かう。動物園で待つ市長さんの歓迎の言葉のあと、ゆっくりと動物園を見学。そのあと、また華々しいサイレンの音と共に、治療や療養が待つ施設へと戻っていく。昨年は1500人のVIC’sが招待され、彼らの家族を併せて5000人が初夏の夕方の動物園を満喫したとのこと。

このイベントは、「子供動物パーティー」財団が中心となって、動物園、警察、消防署、救急センター、警察、保安隊、税関、軍隊、赤十字、救助隊、そしてアムステルダム市が協力してオーガナイズしている。

VIC’sの日は、オランダだけではなく、世界各国でも開催されている、とHet Parool新聞にあった。今年で14回目の開催とのことだけれど、うかつにも今年までその存在に気がつかなかった・・・
財団のサイトによると、300以上の車両、約100そうの船、1400人のボランティア、22人のコーディネーターが、この日のために尽力したとのこと。動物園付近の道路は一時閉鎖され、2路線のトラムも迂回した。

晴天の初夏の夜(と言っても、この時期10時ではまだ明るいのだけれど)、サイレンが奏でるオーケストラがまるで子供達の歓声のように街に鳴り響いた。同時に、日々病気と闘い、外出することも困難な子供達がオランダにもたくさんいるということを、サイレンの音が再認識させてもくれた。